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一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況 #1

障がい者雇用現場の虐待

厚生労働省から公開された、平成27年度『使用者による障害者虐待の状況等』の考察です。

通報・届出は34.5パーセント増加

ここでの通報・届出は3つのカテゴリーに分けられます。

  1. 都道府県からの報告
  2. 労働局等への相談
  3. その他労働局等の発見

数字から読み取れること

1.「都道府県からの報告」は前年度と比較して60.8%の増加で193事業所

  • 行政側も意識して「障がい者の雇用」に目を向け始めたとみてとれます。

2.「労働局等への相談」は前年度と比較して27.6%の増加で846事業所

  • 一緒に働く人たちも少しずつ障がい者が虐待されている環境に対して声を上げているということだと思います。

3.「その他労働局等の発見」は前年度と比較して41.6%増加して286事業所

  • これは、労働局が監査時に意識して「障がい者の雇用」に目を向けているということだと思います。

以上をまとめると

行政や一緒に働く労働者は障がい者の虐待に対して目を向け始めたというのがこの結果から読み取れました。


届出の対象となった障がい者も増加

1.前年度は1276人に対して、今年は1926人(前年度比50.9%UP)

  • 報告の全体件数が上がっている証拠。障がい者について注目され始めたことで報告件数が上がっていると考えられます。
  • または、虐待の解釈が広くなり、今までは見過ごされていたことを虐待と見て報告することで件数が増えたということも考えられます。

2.この中で最も多かったのは「経済的虐待」に該当する届出が前年度811人に対して、1310人(61.5%UP)

  • この「経済的虐待」は、最低賃金を下回る会社に勤めて虐待となるケースのみになります。
  • 中には、障がい者へ対して給与やお金についての説明をちゃんとせず、誤魔化してしまう経営者もいるのが現状だと言えます。

どういった業種や、どの規模の事業所での虐待が多いのか?

まずは業種編

第3位 卸売業、小売業

ここでは49名(全体の9.7%)とそこそこ少ないように見えるが、卸売業や小売業はなかなか労働環境が整備されにくい業界である。そういった危険な業界なのでそもそもの就業人数が少ない可能性もありえる。

第2位 医療、福祉業

ここではどういったケースの虐待が多いのかそこまではっきり見えませんが、医療の業種で就業されている方の虐待の現場が想像がつきません。この福祉業ってのがキーポイントなのかな?医療の現場で虐待はあるのかな?

第1位 製造業

栄えある第1位は製造業です。製造業は1分1秒の世界、そして担当部署によっては1000分の1ミリの精度を求められるところもあります。その物の出来栄えで、返品、さらに素材の買い足しといった、かなりリスクの高いものになってます。まさに「職人」の世界です。そして「職人」の世界で必要なのは、熟練の専門的な技術が求められます。そのようなシビアな環境でトラブルがあるのは日常茶飯事なのではないのでしょうか?

この結果と関連して考えたいのがその業界で働いている人数の分母です。業界で何人勤めていて何人が虐待を受けているのか?非常に興味深いですね。

会社の規模編

かなり面白いデータになってます。会社の規模が一定ライン(就業人数)を超えるとほとんど虐待が発生していない状況になってます。

そのラインとは「就業人数が300人を超えるか超えないか」です。

要するに「零細企業」や「小規模企業」では虐待の発生件数が98.2%

300人以上の「中規模企業」「大規模企業」では障害者虐待件数の1.2%です。

明らかに事業規模が小さいと障がい者に対する虐待が発生する件数が多いです。

考えられる理由としては「コンプライアンス」という概念がないこと

だと思われます。

参考資料 厚生労働省プレスリリース

平成27年度「使用者による障がい者逆他の状況等」

障がい者支援水準が高い、オレゴン方針。

アメリカ合衆国オレゴン州

障がいのある人と関わることが多かった代表志村は、以前より障がい者支援レベルが高いと聞いていたアメリカ合衆国オレゴン州で、その支援レベルの高さを経験するために2015年4月~5月の一か月間滞在しました。

オレゴンにおける障がい者支援の歴史

1)   1950年代

1950年代までのオレゴン州では障がいのある人を全員病院に入院させて、ベッドに手足を縛って監禁するなど、人権が守られていない環境下におかれていました。しかし、1960年代に公民権法が制定されて、黒人と並んで差別の対象とされていた障がいのある人にも公民権が認められる基盤が確立されはじめたのです。

2)   1970年代

1970年代には、隣接するカリフォルニア州で取り組まれはじめたピアカウンセリング(精神的サポートと情報提供を含むカウンセリング姿勢のこと)を他州に先駆けて取り入れたとみられており、障がい者支援とその支援を行う人の知識・技能・地位の向上に力を入れていくこととなったようです。

3)   ~現在

現在オレゴン州では多くの施設や行政施策が制定されており、州民の約1/3が障がいのある人という、障がい者との共生先進地域であるといえます。

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オレゴン方針

1)   6つの視点とハウスルール

オレゴン方針は体系的にまとめられた教育プログラムで、「1.SAFETY(安全面)」「2.HEALTH(健康面)」「3.RIGHTS(人権・法律面)」「4.VALUES(価値)」「5.ORGANIZATION(組織)」「6.MANAGEMENT(管理)」の6視点からプログラムが構築されており、これら6つの視点から支援者の就業状況(初任者・管理者など)に応じて講習の受講や検定を受検することなどが義務付けられています

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このオレゴン方針に加えて、各施設がハウスルールと呼ばれる独自のルールを教育方針に設定し、常に最新かつ高水準の教育を展開し続けています。ハウスルールは主に他人に迷惑をかけない・反社会的な行為をしないといった観点から作られているものが多かったです。

2)   支援を求める移住者

オレゴン方針とハウスルールによって支援者の知識・実技水準が高く維持されていることで、支援水準と生活環境が高度に維持されているため、オレゴンには近隣地域から障がい者が移住してくる数が非常に多いということがわかりました。この数値は非常に驚異的で、地域ぐるみでの障がい者支援が成立していなければ破たんしてしまう人口ともいえます。

3)   日本とオレゴンにおける障がい者虐待

さらに日本とオレゴンの障がい者虐待の比率を比較しました。比較の軸となるのは養護者(保護者やそれに準ずる人物)と支援者(施設従事者)における虐待の分類割合です(オレゴン州の統計においては「無資格者(養護者)」と「資格保有者(支援者)」と分類されています)。特徴的だったのは、オレゴン州において支援者による身体的虐待の比率が非常に低かったことです。このことからも、支援者の支援水準が非常に高いことがうかがえます。

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弊社のサービス

昨今、障がい者支援施設での虐待が騒がれています。離職率が高く人手不足が目立つ業界の為、入社後の研修が無いことも多く、「現場で覚える」スタイルで運営されています。その結果、虐待であると気付かずに虐待をしているケースがみられます。
弊社が目指す「障がい者にやさしい街づくり」を実現するために、アメリカ合衆国オレゴン州をモデルにしたいと考えています。
オレゴン州では障がい者支援者に体系的にまとめられた研修プログラムを受講することが義務付けられており、支援者の知識・実技水準を高く維持しています。
この体系的な研修をもとに、カリキュラムコンテンツ日本向けにアレンジした障害福祉支援者向け研修を弊社が提供します。

 

PUJAさんにお邪魔してきました

みなさんこんにちは、CRMのタケです。
街がクリスマス一色ですね。どこの看板もどこの街灯もみんな揃ってキラキラしています。この時期の電力消費量とかすごいんだろうなぁ。これは僕の主観でしかないんですけど、夜の街がキレイな時って外が寒い時に限る気がします。真夏の暑い時に街がキラキラしててもなんかこう、、、ねぇ、違うかなぁって。小さいころから体にすりこまれたクリスマスのイメージがそうさせているのでしょうか。夏は夏で花火が夜を彩っているので闇夜が光る魅力は変わらないはずですが、それでもなんかイルミネーションは夏にやってても全然魅力的に見えないかもしれない。これが季節感というやつなのでしょうか。はい、雑談でした。

今日は少しお勉強をお休みして、少し前にお邪魔させていただいたお店の紹介(?)をさせていただこうと思います。いわゆる番外編というやつです。ぜひ最後まで読んでいってください。以下より本文です。

 

PUJAさんにお邪魔してきました!!

今回の記事は「カトマンドゥカリーPUJA」というカレー屋さんにお邪魔させていただいたときの話です。なんで突然カレー屋さん?となると思いますので、先に経緯だけお話させていただきます。

このカトゥマンドゥカリーのPUJAさん、簡単に言うと障害者支援や地域交流などの活動に非常に興味を持っていらっしゃいます。我々Lean on Meとの関わりで言えば例えば今年平成28年の10月にありました障害者との交流イベント「スイーツバイキング」(@サニースポット一階caféクローバー)にご参加して、ナンの上にアイスを乗せたデザートを提供してくださったりしていますし、地域との交流で言えば中学生の職業体験の学生を積極的に受け入れていたりしています。実際にお店に行くと、生徒がその職業体験の経験をまとめたものが壁に貼ってあったりして、見るだけでなんとも初々しい気分に。こんな時期が僕にもあったのでしょうか。ちなみにナン乗せアイスは今回僕はいただきませんでした。

大体紹介はこんな感じですかね。

 

カトマンドゥカリーにビックリ

そんなPUJAさんに”お仕事”で訪問させていただきました。カレーが食べたかっただけじゃないですよ。あくまで僕のお仕事の一環としてお邪魔させていただきました。……そのついでに少しだけ料理もいただいてきました。

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まずタンドリーチキンの登場です。なにがテンションが上がるって、鉄板に乗ってとても豪快な音を出しながら前に運ばれてくるんですよ。おもわず「肉だ!」ってなっちゃうこの一品。他にもうれしかったのがこのタンドリーチキン、中に骨がないんですよ。このサイズで全部お肉なんですよ。僕自身お肉は好きなんですけど骨付きになるといっつも手もよごれちゃうしなんかきれいに食べられないしで少し苦手だなぁと思ってまして、とてもとても個人的なことかもしれませんが今回この骨なしチキンにとても感動いたしました。なにやらネパールではお肉をこんがりと焼いて食べるのが普通だそうで、それを日本人が食べると「少し焼きすぎじゃないかなぁ」と思ってしまうそうです。それをオーナーがきちんと日本人好みになるように工夫していったのだとか。骨なしチキンももしかすると少しきれい好きな日本人の性格に合わせていった工夫の結果なのかもしれません。
気になる味の感想ですか?それはもう百聞は一見に如かずですよ。一見?一味?なんにしろいったんお邪魔してみましょう。

 

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そしてお待ちかねのカレーです!いやカリーです!カトマンドゥカリーです!これはその中でもバターを使ったもの(だったはず)です。実は食べた段階ではこれが”カトゥマンドゥ”カリーってことは知らなかったのですが、なにやら世界で一番おいしいカレーと称されているような種類のカレーみたいですね。実際の味の方はどうなのでしょうか。もちろんおいしいに決まってました。めちゃくちゃおいしかったです。なんというか僕が今まで食べたことのあるカレーの味とはどれも少し違っているような風味でした。だから○○みたいとかそんな喩え方が出来ないのですが、まぁ文句なしにおいしかったです。なんなら悔しかったです。ちょっと変な話なんですが、僕も一時スリランカに訪問させていただいたことがありまして、そこで本場のカレーを食べて、帰りにスパイスとか買って家でちょっと凝ったカレーとか作ったりしてたんですよ。だからカレーには少しだけ自信(?)があったんですよね。そこにこのカトマンドゥカリーとの出会いがドンと。「なんだこれ今まで食べたことない。。。」ってなってしまったと。どうやって作るんだこれ、って悔しくなったという話です。レシピ真似してやろうと思って一生懸命僕の舌に頑張ってもらったんですが全然何が入っているかわかりませんでした。僕の感想では「カボチャの味がする」だったんですが、オーナーに聞いたら「それは絶対に入ってない笑」とのことでした。なおさら悔しい。
それから実はこの時一緒にナンも出てきました。チーズナンでした。残念なことに僕写真を取り損ねてしまいました。チーズナン最高だったんですよ。もう見た目から味から最高で「こんなにチーズってとろけるのか」ってなりました。夢中で食べ過ぎてしまって写真を残せなかった……。ナンとカレーが最高だったんです。僕が言いたいことはそれだけです。

 

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そんなこんなで大変楽しいお食事をさせていただくことが出来ました。ただの宣伝になってしまった気がします。が、それもまたよいでしょう。気になる方はまずホームページにでも足を運んでみてはいかがでしょうか。

カトマンドゥカリーPUJA ホームページURL : http://puja.ne.jp/

以上!番外編でお邪魔しましたシリーズでした!
最後まで読んでくださりありがとうございました。またここでお会いしましょう。

失礼しますー

0から学ぶダウン症 Part5 ー丈夫な体を作るためにー

みなさんこんにちは、CRMのタケです。
いかがお過ごしでしょうか。僕はすこぶる元気です。

年末に向けてやることが色々と増えてくる時期ですね。僕はちゃんと部屋の大掃除するのかなぁ。年賀状も書こう書こうと思って毎年中途半端です。計画的に物事を進められる人が心底すごいと思う今日この頃。

はい、というわけでこの記事だけでもなんとか続けて書いていきましょう。今日からしばらくはかなり具体的なお話が続いていくと思います。赤ん坊とあまり接したことのない僕が知識だけで書いていくアk南方との接し方です。以下より本文です。

 

 

家庭で出来る療育

ダウン症の子供たちは、生まれたときからすでに「染色体の数」という点において他の子とは違っています。そして残念なことにその染色体数の違いは健全な発達、健康な体という面においてのぞましくない影響を与えてしまいます。全身の筋肉量が少し劣っていたり、特定の疾患に対して身体が弱くなってしまうのは以前も述べた通りです。そこで療育の第一歩として、まずは丈夫な体作りが必要となってきます。もちろんこれはダウン症の子供だけにとどまらず、赤ちゃん全員に共通して大切なことなのですが、とりわけ体質的に弱い性質を持った子供にはとっても細やかで入念な管理や配慮などが必要となってくるのです。

まずは規則正しい生活リズムを大切にすることから始めます。早寝早起きは健康の基本!……なんだろう、耳が痛い話です。乳児期の体は身体的発達が目覚ましい反面、食事や睡眠などといった生理的機能の発達はまだ未熟です。今まで我々が無意識のうちに送っている大人の生活は、いわゆる野生動物的な観点から言えば少々異常です(夜中でも平気で明るい、昼夜を完全に逆転した生活などなど)。親の生活のリズムで子供の世話をしていては、当然子供もその不自然なリズムで育ってしまいます。身体的成長が著しいここの時期だからこそ、きちんとした食事睡眠で体の基礎を作っていくことが大切なんだと思います。寝る子は育つ!カブトムシのツノの大きさも幼虫の期間が長ければ長いほど、栄養を与えらば与えるほど立派になるということですしね!余談です!

とはいっても赤ちゃんは生後三か月ほどは「空腹になると起床」し「満腹になると睡眠」というように本能丸出しの昼夜関係ない生活を送ります。この時期の親は身体的にとてもしんどいと思いますが、ぜひ赤ちゃんのリズムを尊重して頑張ってほしいです。この時期を過ぎると昼と夜の区別ができるようになり、睡眠も夜間に取るようになってきます。外界と赤ちゃんが少しずつリンクしてくる時期です。このぐらいから赤ちゃんのリズムをきちんと調整していくことを始めてください。ここに失敗すると夜にきちんと寝付いてくれず、いわゆる「夜泣き」が発生してしまいます。そうなると親としてもしんどいです。加えて夜にきちんと睡眠をとれなかった赤ちゃんは昼の間の様々な療育にもどこか上の空で集中してくれなくなってしまいます。きちんとしたリズム作りを心がけてていきましょう。

 

食生活

さて、そんなこんなで睡眠のリズムをきちんととることが出来始めました。次に気になるのは食事です。初めはミルクから与えるでしょう。生後一ヵ月ぐらいのあかちゃんは、一回に飲むミルクの量が少ないです。体も小さいので当然かもしれませんね。だから一日になんどもなんどもミルクを飲む必要があります。先の話と同じです。そうして満腹になると寝て、空腹になると起きます。しかし三か月をすぎてくると、少しずつ一回当たりの食事量が増え、授乳の間隔が長くなり、リズムが確立されていきます。このあたりになってきたときには、きちんと満腹空腹のリズムを把握していくのが良いと言われています。

一般的に離乳食を食べ始めると言われる3~5か月ごろになってくると、先までのリズムの生成に加えて栄養バランスを考える必要も出てきます。また同時に口の中のトレーニングも始まります。口のトレーニングとはなんでしょうか?いわゆる咀嚼の力や歯周りの環境を整えることを言います。これはもう本当に何度も言っている話ですが、ダウン症の子供は筋肉量が少ないです。それは口周りにも同様で、咀嚼する力が弱いことにつながってきます。このことは歯肉や歯への刺激が普通より少ないことを意味し、通常大人になってから発症する歯周りの骨や歯肉の炎症、いわゆる歯周病へのリスクを高めてしまうのです。そこで口内の環境を整えるために、歯磨きをきちんとしてあげることはもちろん、マッサージをしてあげることも大切だと言われています。

マッサージといってもそんなに難しいものではないようです。目的は歯肉に十分な刺激を与え、航空間隔を正常化させることです。人差し指の腹を歯と歯肉の境にあて、歯肉の真ん中から左右に向けて少し力を入れながらこすってマッサージをするのだとか。この手の知識に関しては文章で読むよりもきちんとした専門家の方に一度手本を見せてもらうことがとても効果的だと思います。間違った知識のまま子供に何かを施すことは取り返しのつかない大変な事態を引き起こしてしまう可能性があります。この記事を読んですこしでも興味を持った方は、ぜひお近くの歯科や専門の相談窓口に行ってお話を聞いてみてください。

 

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以上で本日の記事は終わりです。
次回はもうちょっと食事の内容について触れていければなぁと思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。またここでお会いしましょう。

 

 

参考文献:玉井邦夫「ダウン症のこどもたちを正しく見守りながらサポートしよう」日東書院

 

 

これって異常!?社会福祉施設の管理者が抱える負の連鎖

一般的な管理責任者の統制範囲って?

一般的な管理責任者の統制範囲について、Span of Control(スパンオブコントロール)というMBA用語から紐解いていきたいと思います。

Span of Controlとは、マネジャー1人が直接管理している部下の人数や、業務の領域。
一般的な事務職では1人の上司が直接管理できる人数は5~7人程度と言われているが、様々な要因によってspan of controlは左右される。要因としては、部下の業務内容や業務レベル、権限委譲できるかどうか、業務管理手法、教育、トレーニング、社内制度やシステムなどがある。

(引用元:GLOBIS MANAGEMENT SCHOOL)

なるほど。基本的に一人の管理責任者が直接管理できる人数は5〜7人なんですね!確かにこれ以上の人数を一人で管理しようと思えばよっぽどのリーダーシップが必要でしょうが、それでも管理が行き届かない部分が出ても不思議ではありませんね。

では一体、社会福祉施設の現状は?

項目 数値
障がい(児)者数(身体・精神・知的) 787.9万人
社会福祉施設数 50,343施設
施設あたり障がい者充当数 156人
施設あたり直接処遇職員数(=A) 6.12人
 うち常勤 4.58人(74.9%)
 うち非常勤 1.54人(25.1%)
施設あたり管理責任者数(=B) 0.48人
統制範囲(=A÷B) 12.75人

(出典:厚生労働省「社会福祉施設等調査の結果」「厚生労働省「障がい福祉サービス等経営実態調査」内閣府「障害者白書平成26年版」)

1人の管理者で13人の職員を管理する現状は、異常な状況と言えるのではないでしょうか。また、直接処遇職員を管理する管理責任者は1施設あたり平均で0.48人程度となっていることも管理責任者の不足と言えます。さらにいえば、管理責任者が直接処遇職員を兼務していることが非常に多いため、その管理統制範囲はもっと狭いものでなくてはいけないと言えます。

管理者の負担が引き起こす問題

管理者に対する負担の重さ、あるいは不充分な管理による支援の質の低下が業界の問題として存在しています。ひとつは、管理責任者の数が少ないことで直接処遇職員の教育が進まず、適切な対応を理解していない多くの直接処遇職員で支援を行わなければならないことが挙げられます。さらにもうひとつ、当社が独自に行った事業所ヒアリングでは、管理責任者の組織マネジメント力の不足を認知されているほか、管理責任者として任命できる有能な人材がいないことを問題視されていました。事業者にこうした意識はあるものの、増加した障がい者に対する支援対応を行える職員数が限られていることから、管理者としてステップアップするための経験および教育を十分に積むことができていないことが問題として挙げられます。

さらに

高い離職率も原因に挙げられます。直接処遇職員の約25%は非常勤です。当社が独自に行った事業所ヒアリングでは、非常勤職員の離職・転職率が非常に高いことがわかりました。離職の原因のうち、多いものは支援によって身体の不調(腰痛やケガなど)を招いたこと・支援の負担に耐えられなくなったなどです。 職員が離職すると、新たな人員を雇用することとなります。その際には新たに教育を施す必要があるため、その時間と費用がかかることとなります。しかし、管理責任者は実務と管理で多忙なため、個別教育に時間を割くことができません。外部講師に委託するとしても、1人だけの受講では費用対効果が悪いため実行不可能といえます。 必要に駆られて新たな雇用を行ったはいいものの、十分な教育を行うことができず、その人物がまた離職してしまうという状況に陥る悪循環が続いてしまいます。

まとめ

やはり、管理責任者が本当に障がいのある方の自立を考えて頑張っていたとしても、後継者や右腕の育成という課題はついて回ります。ただ、全部を自分一人でやろうと思うと管理者の負担は増える一方です。そんな志の高い管理責任者の負担を少しでも減らしていくために当社が力を発揮していきます。障がいのある方の自立を本当に考えた支援をしている方と共に頑張っていきたいと思います。

 

0から学ぶダウン症 Part4 ー学校教育ー

みなさまこんにちは、CRMのタケです。
そろそろお名前覚えていただいてきたころでしょうか。一人でもそういう方がいらっしゃってくれれば今日も楽しく記事を書いていけるというものです。

世間ではもういくつ寝るとお正月ですね。もうお年玉をもらう年齢からは外れてしまったので特別に年末にわくわくする理由もないのですが、それでも普段より少しにぎやかな雰囲気にあてられてなんだが気持ちが昂ったりします。おせち料理があれ不思議なもので年々おいしく感じるんですよね、お雑煮もおいしいし、お正月はそんなのが楽しみです。

今日は前回に引き続き療育のお話ですが、少し年齢が進んで学校での教育についてのお話がメインとなります。以下より本文です。

 

 

統合教育

統合教育とは、健常児と一緒の場所で、同じ内容の授業を、同じ待遇の下で受ける教育です。人間はみんな周りの人がすることを真似ることで何かを覚えていきます。それは例えばことばであったり、体の動かし方であったり、人との振る舞い方であったり、社会性そのものを学ぶこともそのうちの一つです。統合教育の良いところはまさしくここにあると思います。生活面の様々なところで、共同体の中の人々はお互い知らず知らずのうちに影響を受けるものです。それは自分が意識しなくともそうだし、小さなころならなおさらです。健康状態についての問題がなく、受け入れ先に良いところが見つかれば統合教育はダウン症の子供にとってプラスに働くことでしょう。
少し話がそれますが、子犬を飼う時も一匹で飼ってしまうと喧嘩の加減がわからずに育ってしまい大人になった時に飼い主を異常な強さで噛んでしまうことがあるとかいいます。何が言いたいかというと、結局生きていく以上、他者との関係を避けて完全に一人でいるなんてことは無理で、どこかしらでその関係性やうまいやり方を学ぶ必要があるということです。

まず初めに通う通園施設は保育園または幼稚園だと思います。保育園の方が幼稚園よりも保育時間が長いのでしょうか。保育時間が長ければ長いほど、生活面での指導が期待できるかもしれません。短い時は保育終了後にプライベートな付き合いの時間を設けることができ、様々な経験をさせることが出来るかもしれません。自分にあった条件の保育施設を探しましょう。

よりよい統合教育に少しでもしていくために、いくつか気をつけておきたい事項があるようです。受け入れを希望する施設の保育者の数や受け入れ態勢、研修の有無などはその気にすべき項目の一つでしょう。園全体がダウン症のこどもの発達段階や特性、気を付けるべき事柄に関しての知識を持っていれば安心して預けることができますね。また子供同士がうまく関係を築けるかどうかは、その他の子供たちの保護者の理解があるかどうかにも大きく影響を受けます。保護者同士で情報を共有したり、保護者会などに積極的に参加することも大切なことです。また、その園が専門機関と連携を持っているかというのも気にするとよいかもしれません。場所によっては地域との協力体制を築けているところもあるそうです。調べられることは全部調べて、自分にとって最も良い園が見つけられるとよいですね。

 

学校教育、特別支援学校について

障害を持つ子供は、通常の教育形態を受けるだけでは持っている能力を活かしきれずに終わってしまうこともあります。初めの記事にも書いたと思いますが、健常児に比べて発達するスピードが遅いため、自分にあった速度の教育を受けていくことが大切なのでしょう。そういった子供たちに対応するために「特別支援学校」「特別支援学級」「通級による指導」という3種類の教育形態が存在しています。一般的に中度から重度と呼ばれるようなこどもたちが通うのが特別支援学校と呼ばれるところです。こどもに対する教員の数は手厚く、建物自体もかなり配慮されたつくりになっているため安心して通うことが出来るでしょう。特別支援学級は障害が比較的軽いこどものために小・中学校におかれている学級です。また必要に応じて通級指導教室に通いながら、普段は通常と同じ学級に在籍する通級と呼ばれるシステムもあります。しかし原則としてこのシステムでは知的障害はのぞかれているので、ダウン症の子供で通級指導を受けているこどもは少ないかもしれません。
これらのような仕組みを利用せずに、通常の学級に通うケースもあります。先に書いた幼稚園保育園でのケースと同じで統合教育としての利益をもたらす可能性がありますので、症状が軽度な場合の選択肢として十分にあり得るでしょう。しかしここで気にしなければならないのは通常学級にいることがその子にとって幸せかどうかということです。適切な手立てをしないままに、何も考えず通常の学級に入れてしまうことをダンピング(投げ込み)というようです。これは避けなければならない事態だと考えています。
自分にとってしんどいことに挑戦するということは成長するためには必要不可欠です。しかしながらそのしんどいことは、当たり前なことですが、とてもしんどいことなのです。何のためにやっているのかわからなくなるかもしれません。その先に本人の望むものがないかもしれません。一度ゆっくり考える時間を設ける必要があるかもしれません。重ねてになりますが全員が不幸になってしまう努力は絶対にしないでください。

 

 

 

今日の記事はここまでにしようと思います。今年はあと何回記事を書くのかなぁ。
またここでお会いしましょう。最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

 

参考文献:玉井邦夫「ダウン症のこどもたちを正しく見守りながらサポートしよう」日東書院