2022.07.08

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強度行動障がいのある利用者支援③-社会的関係への支援-

こんにちは!

強度行動障がい者への支援は、障がい者支援の中でも難易度が高いと言われています。強度行動障がい者への支援は、他の障がい種と比べても知識や技術が求められます。そのため養成研修が各都道府県で行われています。

本シリーズでは、3回に分けてそんな強度行動障がいの症状や支援方法について解説します。強度行動障がい者をこれから支援するけど、分からないことがある方におすすめの記事です。

今回は強度行動障がい者の社会的関係の理解に対する支援方法について解説します。障がいがある方自身が周囲から何を期待されているのか、他人からどのように見られているのかといった社会的関係を理解し、日々の活動の困難を取り除くためには、支援者は彼らが苦手な社会的関係の理解に対する支援が求められます

強度行動障がいがある方は、周囲を見て自分の役割を理解すること、相手の気持ちを想像することが難しいときがあります。例えば、事業所で周囲の人間が作業をしているにも関わらず自分には関係ないと考えてしまうことがあります。また、自分自身についての見通しが立たず不安になることや、支援者にサボってると勘違いされ怒られてしまうことにより、イライラにつながることもあります。このような場面には彼らの社会的関係の理解が苦手という特性が深く関係しています。

今回はその強度行動障がい者の社会的関係の理解に関する支援方法について解説します。

強度行動障がいとは

そもそも、強度行動障がいとは自閉症や知的障害の人が示す激しい行動で、強度のこだわり、自傷、他害、破壊、パニックなどが挙げられます。

正確な定義については以下の通りです。

『精神科的な診断として定義される群とは異なり、直接的他害(噛み付き、頭突き等)や、間接的他害(睡眠の乱れ、同一性の保持等)、自傷行為等が通常考えられない頻度と形式で出現し、その養育環境では著しく処遇の困難な者であり、行動的に定義される群』

(引用:行動障害児(者)研究会、1989年)

強度行動障がいとは、生まれつきの障がいではなく、自閉症者や知的障がい者が後天的になる障がいです。彼らの障がいに対して適切な支援ができていないことが強度行動障がいにつながります。

自閉症の3つの障がい特性について

支援をする上で、押さえておくべき自閉症者の障がい特性は3つあります。

こだわりの行動がある

自閉症者は、特定の物や動作にこだわる行動をすることがあります。例えば、同じ本を何度も読み直すことや、電車で同じ席にしか座らないことが挙げられます。自閉症者にとって、こだわり行動が出来ないことは大きなストレスです。作業の時間のため本を読むことが出来ない、お気に入りの席に既に誰かが座っていることが挙げられます。

コミュニケーションが苦手

自閉症者の中には言葉を理解することや自分の気持ちを言葉で表現することが苦手な人がいます。例えば、比喩をそのまま受け止めてしまうことや、言葉の言い回しが独特で相手に理解されないことが挙げられます。(参考:強度行動障害支援者養成研修【基礎研修】.2014)

社会的関係の理解が困難

自閉症者は周囲の状況や職員の表情を読み取って行動することが苦手な時があります。例えば、周囲の人々が作業をしているから自分も作業をしようと思い行動することや、どこに自分が座ればいいのか何をすればいいのかが分からないということが挙げられます。

本日は、自閉症者の社会的関係に関する支援方法について述べていきます

分かりやすくポジティブな関わり方で社会的関係が構築できる

利用者が作業の時間なのに別の行動をしてしまうことや、何をすればいいのか分からず固まってしまうことがあるかと思います。そのような時は、支援者が利用者に対して彼らにやるべきことを伝えきれていない可能性があります。利用者が自分のやるべきことを理解し、行動するためには、分かりやすくポジティブな関わり方を通して社会的関係を構築することが有効です。

分かりやすくポジティブな関わり方は大きく分けて、2種類あります。

1つ目は、役割や期待を明確に表すことです。口頭で伝えるだけではなく、絵や図を用いて伝えることが有効です。例えば、作業時間の過ごし方について、どこに座ってどのような道具を使っていつまで作業するかなどを写真やスケジュール帳を用いて伝えることが挙げられます。

2つ目は、不安や混乱を減らすことです。利用者が自分の生活に対して見通しを持てるようになるための声かけが重要です。利用者は自分の役割やこの後は何が起きるのかが不明確であること、変化していくことに対して不安を抱くことがあります。そのため「明日はどうなるかわかりませんね」のような不安を煽る声かけを行わないこと、利用者が生活に見通しを持てるように急な予定変更を行わないことが有効です。予定を変更する際は、事前に「明日は旅行に行きます」「来週の作業はありません」と分かりやすく伝えるとよいでしょう。

以上の2種類の関わり方を通して、利用者は社会的関係を理解することが可能となり、自分のやるべきことを実行しやすい環境を作ることができます。

社会的関係の理解力はトレーニングで改善する可能性がある

利用者の社会的関係の理解力を改善するためのトレーニングも存在します。先程までは社会的関係の理解が苦手な利用者に対して、支援者の関わり方について説明しましたが、利用者の状態や事業所の状況に応じてトレーニングを行うことも有効である場合があります。そのようなトレーニングをSST(social skill training)と呼びます。具体的には以下のような流れでおこないます

1.練習したい課題や目標を選ぶ。
2.練習を行う本人が相手役を選び、実際にロールプレイを行う。
3.参加者は「良かった点」を評価し、「さらに良くする点」を提案する。
4.本人がアドバイスのうち取り入れたいものを選び出し、再度ロールプレイを行う。
5.必要に応じて、練習した課題は宿題となり、次回に経過報告を行う。

(引用:障害保健福祉研究情報システム)

このように、①促し(プロンプティング):良いやり方を促す、②コーチング:良いやり方を指導し教授する、③行動形成(シェーピング):一歩一歩練習する、などの技法を積極的に用いることで、自閉症者がどのような場面で何をすればいいのか、その行動が相手をどのような気持ちにするかなどを理解する一助になります。(参考:障害保健福祉研究情報システム)

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今回は自閉症のある利用者のこだわり行動への対応方法をご紹介しました。

自閉症者への支援以外にも障害者施設で働く上では、知的障がい者への支援や介護方法など学ぶべきことが多数あります。

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電話番号:072-648-4438