一将松本

一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況 #3

《実例紹介》心理的虐待が認められた事例 #1

1.通報・届出の概要

  • 障がい種別:知的障害
  • 就労形態:期間契約社員
  • 事業所の規模:100〜299人
  • 業種:宿泊業、飲食サービス業

2.誰からの報告なのか?

  • 市役所が県庁を経由して労働局に報告した事案

3.どういった状況で虐待が行われたのか?

  • 知的障がいのある従業員が、同僚や上司から「遅い」、「早くしろ」など継続的に怒鳴られ、食器を床に投げつける等の嫌がらせを受けたことにより退職に追い込まれた

4.労働局の対応

  • 労働局は、職業安定部(公共所業安定所)を担当部署とし、訪問調査を実施した。雇用先の担当者から事情聴取したところ、通報内容を事実として認めた
  • 労働局は、使用者による心理的虐待であることを認め、公共職業安定所は、他にも就労している障がいのある従業員もいることから、障がい者虐待防止のための職員研修の充実、虐待防止のための体制整備について指導した。
  • なお、労働局は、退職した障がい者本人に復職の意向を確認したところ、その意向はなく、個別労働紛争解決制度の利用は望まなかった。
  • 処理終了後、労働局は県庁に情報提供した。

《今回の問題点》
知的障がいのある従業員への指導は、「遅い」、「早くしろ」ではダメということです。宿泊業、サービス業の現場で安易に想像できるのは、「常にお客様の顔色を伺いながら接客」をしたり、「お客様に迷惑をかけないように短い時間で大量の作業を行う」といったお客様最優先の職場環境です。虐待した人をかばうつもりはありませんが、「お客様に迷惑をかけられない」というプレッシャーが結果的に「障がい者への虐待」につながった可能性は高いです。もし、同僚や上司がその知的障がいのある同僚に「生産性」を求めたかったのであれば、「伝え方」を変える必要があります。

《問題に対する解決策》
例えば、知的障がいのある方の「作業スピードを早くしたい」という課題を解決するアプローチとして、今回は、声かけのミスがありました。「遅い」、「早くしろ」という声かけは、具体的なアドバイスではありませんし、これでは明確な基準がわかりません。以下、「皿洗い」を例題に考えていきます。

〈例:決められた時間で皿洗いができるようになるために〉

  • 基準となるオペレーション(作業)時間を設定する。(1分間で10枚洗うなど)
  • 本人の前にストップウォッチを置いて実際に測定をする。(視覚情報の方が伝わりやすい場合があるため)
  • もし数字が読めない場合には、「砂時計」や「時間が経つと画面が変わるアプリなど」を利用する
  • OJTをして「作業を早くできるポイント」をみつける(「皿を洗剤で磨く工程」や「皿を拭く工程」など)
  • OJTでみつけたポイントの工程を細分化して「ソフト面」か「ハード面」で解決策を考える
  • 決められた時間内で作業ができるようになると継続的にできるように練習または方法を考える

(「ソフト面」とは・・・のスキルや能力を上げる
こと)
(「ハード面」とは・・・使っているを変えたり改良したりすること)

上記が、障がい者雇用をするのであれば最低限、意識しておきたいポイントになります。他にも知的障がいのあるご本人の「こだわり」や「伝えやすい方法」などを障がい者支援者や支援学校の先生などに確認をしておくと良いです。

《実例紹介》心理的虐待が認められた事例 #2

1.通報・届出の概要

  • 障がい種別:知的障害
  • 就労形態:正社員
  • 事業所の規模:30〜49人
  • 業種:サービス業

2.誰からの報告なのか?

  • 県庁から報告があった事案

3.どういった状況で虐待が行われたのか

  • 上司から、「お前、何回言わせるんだ」、「はい、はい、はい」と耳元で急かすように大声で言われる等の叱責(しっせき)を受けた。工場長へ相談すると、自分への叱責はなくなったが、他の障がい者に対して同様の叱責をしていることがわかった。

4.労働局の対応

  • 労働局は職業安定部(公共所業安定所)を担当部署とし、訪問調査を実施した。事業所の関係者から事情聴取したところ、上司は仕事上の注意をする上で、虐待とも取れる荒々しく執拗な叱責があったことを認めた。
  • 労働局は使用者による心理的虐待であることを認め、公共職業安定所は、障がい特性を踏まえて配慮するよう上司への障がい者虐待防止のための研修強化について指導した。
  • 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

《今回の問題点》
事例1と同様に、知的障がいのある方への声かけの仕方が間違っていたことが考えられます。当たり前のことですが、部下が、「上司の求める仕事ができないこと」に対して、怒って解決しようとすることは、自らの指導スキルがないことを認めているも同然です。これら、「情報不足によるミス」は多くの障がい者雇用先が抱えている課題だと思います。

《問題に対する解決策》
まずは雇用環境の整備として、上司が、「一つ一つの作業をわかりやすく説明できるか」と「障がいについてor 一緒に働く障がい者の情報があるか」が鍵になってきます。

  • 作業については、一つ一つの工程などの意味を「自分の言葉で説明できる状態」で、更にオペレーションでの、「 “段階的なつまずき” に応じて適切なアドバイスができる」必要があると思います。
  • 障がいについては、弊社のSpecial Learningを受講いただくことをおすすめしますが、一緒に働く障がい者の情報については、「その方の人生背景」と「配慮が必要な部分」と「得意なこと」は最低限、把握しておくべきだと思います。

《実例紹介》身体的虐待と心理的虐待が認められた事例 #3

1.通報・届出の概要

  • 障がい種別:発達障害
  • 就労形態:期間契約社員
  • 事業所の規模:100〜499人
  • 業種:製造業

2.誰からの報告なのか?

  • 障がい者ご家族からの通報

3.どういった状況で虐待が行われたのか

  • 職場の上司を含む同僚から、「ボケ!」、「お前がいなくなれば楽になる」と暴言を吐かれる頭をこぶしやヘラで叩かれる。挨拶の仕方が悪いといって就業時間後に長時間残され叱責される。

4.労働局の対応

  • 労働局は職業安定部(公共職業安定所)を担当部署とし、呼出調査を実施した。雇用先の担当者から事情聴取したところ、障がい者への指示や指導の際に、通報内容にあった暴言や暴行及び嫌がらせを行なったことを事実として認めた。
  • 働局は使用者による身体的虐待及び心理的虐待であることを認め、公共職業安定所は、再発防止対策の確立及び障がい者に対する言葉遣いや雇用管理について、障がい特性を踏まえて配慮するよう指導した。
  • 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

《今回の問題点》
「障がい者雇用を担当した者」「現場で一緒に働く者」との間にコミュニケーションミスがあったのではないか?と考えられます。今回の発達障がいのある方を雇用するに至った経緯はわからないのですが、よくある例で言うと、社長が、「社会貢献だ!」と言って障がい者雇用を進めたが、実際に現場スタッフは「なんか来たで。」というように非常に温度差があることです。これでは、社長は良いことをした気分になるだけで、現場は混乱を起こし、ストレスのはけ口として障がい者に目がいくようになってしまいます。

《問題に対する解決策》
障がい者雇用をするということは、社内全員が「障がいについて」一定の知識をもつ必要があります。本来であればノーマライゼーションの考えをもとに、障がいのある方へ配慮をすることで、当たり前に共存できる社会をつくる意識を共通認識としてもって頂きたいです。しかし、現在(2017年)の障がい者雇用の理由はおそらく「法定雇用率」や「助成金」が多いのではないでしょうか。だとしても、社内全員が、「障がい者を雇用すること」で、「国から援助がある」または「罰金を支払わなくて済む」、「企業のイメージが上がる」などメリットをしっかりと伝えてあげる必要があると思います。個人的には、「障がい者」と一括りに言っても、なかには、「生産性を上げてくれる障がい者」もいれば、現場に「癒しを与えてくれる障がい者」もいるので適材適所に雇用していただけると良いと思います。

(ノーマライゼーションとは・・・障がい者と健常者を区別せず社会生活を共にするのが正常であるという考え方)
(法定雇用率とは・・・従業員50人以上の企業は最低1人、障がい者を雇用する義務があること)

 

参考資料: 厚生労働省プレスリリース平成27年度「使用者による障がい虐待の状況等」

一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況 #考察編

一般企業「障がい者虐待」の原因と対策

以前の記事、『一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況#1』で、事業規模が小さいと障がい者に対する虐待が発生する件数が多い理由として、「コンプライアンス」という概念がないこと。と申しました。そこで僕はもう少し深く考えてみました。(長くなります。笑)

仮説:経営者がコンプライアンスより大事にしたこと

ここでは、「障がい者虐待が起きた会社」の経営者が、「コンプライアンスの代わりに何を重要視していたか?」という目線で考えます。容易に考えられるのは、やはり、「利益追及」ではないでしょうか。会社を経営する上で、「従業員の生活を守るために利益を求めること」は悪いことではありませんが、一つだけやってはいけないことがあります。それが、利益追求のために人を管理することです。なぜかというと、「利益追及の方法」を「人を管理すること」に求めると従業員のことを考えない経営になる可能性が高いからです。実際に、似たような考えが原因で起きた問題について歴史を振り返ってみます。

1900年代に流行した経営論

1911年に、フレデリック・テイラー(1856〜1915)はある本を世界に発表します。その本の名は、「科学的管理法の原理」です。一言でこの本をまとめると、「究極に『人の効率化』を求めた本」です。
内容は大きく5項目に分けられます。

  1. 課業(タスク)管理
  2. 作業研究
  3. 指図票(マニュアル)制度
  4. 段階的賃金制度
  5. 職能別組織

この中に書かれていることで共通しているのは、「従業員には会社管理のもと、その指示通りに働いてもらう」というものです。今でいう「社畜を育てる」という感覚に近いでしょうか。この本は一見、「労働者の自由度が低い仕組み」なので受け入れられないだろうと思いましたが、当時、大ヒットしました。なぜなら、この時代の人々が求めていたのは、「裕福になりたい」ということだったからです。この本では、人の管理で利益追求する経営者のことを「経済人」(労働者は賃金のために働く)と呼びます。さて、この本が大ヒットして何が起こったでしょうか?

経営者の悪用が始まる・・・

テイラーがなぜ「人の管理」で生産性向上を目指したのか?考えられる理由はこちらです。

  1. 産業革命時代に工場内で起きていた「怠業」「不信」「恐怖」にあふれていた世界を変えたかったため
  2. 労使の最大繁栄のため
  3. 従業員の能力を限界まで引き上げ、最高の仕事ができるようになるため

しかし、現実には何が起こったか?

経済人(経営者)は、「科学的管理法」をひたすら労働生産性向上の道具にだけ使いました。そして、その成果を労働者側と分け合うことをしませんでした。つまり従業員のことを「利益追及の道具」として扱っていたわけです。実際に、それが理由で「科学的管理法の導入拒否」のデモを行う労働組合が相次ぎました。

ここで僕が思ったこと

皆さんは、もし自分が経済人の考えをもった経営者で、人をただの「利益追求のための道具」としか思わなかったら従業員にどういう態度で接しますか?もしかしたら、従業員を痛めつけることに抵抗がなくなるかもしれないですよね。それって、障がいのある従業員へ虐待する環境に似ていませんか?少なくとも僕は、この現象を「障がい者が使用者から受ける虐待の状況」と似ている思いました。そこで当時の人たちがどのように変化していったのかが、一般企業での障がい者虐待を減らすヒントとなると思い、さらに調べてみました。

この時代の人々はどういう「改善」をしたのか?

この話の登場人物は、ジョージ・エルトン・メイヨー(1880〜1949)です。1933年に彼が出版した本に、その答えがありました。本のタイトルは、「産業文明における人間問題」です。この本の内容に、3つの調査がありました。

  1. ミュール紡績部門「離職率250%問題」
  2. ホーソン工場での実験「選ばれし6人問題」
  3. ホーソン工場での調査「2万人アンケート」

ここに、一般企業の「障がい者虐待」解決策として、有効な方法があると思ったのでまとめます。(その前にちょっと休憩。笑)

1.ミュール紡績部門「離職率250%問題」

フィラデルフィアの紡績工場に「ミュール紡績部門」という部署がありました。そこでは年間250%の離職率があり(他の事業部門では年間5%)経営陣は頭を抱えていました。そこでメイヨーは、仕事の「単純さ」「孤独さ」が原因であると仮説を立て、「従業員達にもっと休憩時間をとらせてみては?」と経営陣に提案します。そこで経営陣はさっそく従業員に、「みんなが働きやすい環境を作るために休憩を導入します。どのように休憩をとるかはみんなで考えてください!」と伝えました。すると従業員達は話し合いの結果、「私たちは、1日4回10分ずつの休憩を交代でとります。とる順番はみんなで相談して決めます。」と経営陣に答えました。これを聞いた経営陣は、「そんなことをしたら生産性が落ちるのでは。」「利益も下がっちゃうね。」と思いましたが、こちらから提案した手前、黙って見守りました。すると、なんと「離職率250%→5%に改善!」さらに「生産性UP!!」という、まさに棚からぼたもちの結果を得ることになりました。ここで経営陣は、「短い休憩時間の導入のおかげで従業員の職場に対する不満が大きく減った」と考えました。しかし、メイヨーは違う理由を考えていました。

2.ホーソン工場での実験「選ばれし6人問題」

ホーソン工場で行った、ある実験がきっかけでした。テイラーの「科学的管理法」では、「作業効率は照明が明るくなるほど上がる」と言われていましたが、いざ実験すると照明を暗くしても生産性が向上した結果が出たり、照明の変化に関係なく生産性が向上した結果が現れました。そこで、メイヨーは100人の女工さんから6人選んでチームを作り、職場環境によって生産性にどう変化を及ぼすのか?という実験を行いました。その結果、「どの職場環境でも生産性が向上した」という結果になりました。そこでようやく、「科学的管理法」の理論が通用しないことに気づいてきました。

3.ホーソン工場での調査「2万人アンケート」

このアンケートは最初は、「対象を1600人」「質問項目を決めて行う」というアンケート調査でした。それが「2万人(全従業員)を対象」にして現場マネージャと「雑談形式」で行う方法に変わりました。すると結果は、「面接をしただけで生産性が向上した」というものになりました。

ここからが大事!

3つの調査を踏まえてメイヨーの出した結論は以下の通りです。

  • 人は経済的対価より、社会的欲求の充足を重視する
  • 人の行動は合理的でなく、感情に大きく左右される
  • 人は公式(フォーマル)な組織よりも非公式(インフォーマル)な組織(職場内派閥や仲良しグループ)に影響されやすい
  • 人の労働意欲は、客観的な職場環境の良し悪しよりも職場での(上司や同僚との)人間関係に左右される

これは人が、「経済人」から「社会人」へ変わっていったことを証明する結果となりました。そしてそれ以降、「生産性向上」には、効率化だけでなく「人の感情」が重要といえるようになりました。これが、現代の「モチベーション研究」や「リーダーシップ研究」、「カウンセリング研究」などにつながる源流です。

参考文献:「経営戦略全史」三谷宏治 著作

一般企業の「障がい者虐待」の対策として、具体的な方法は次回まとめたいと思います。

一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況 #2

《実例紹介》身体的虐待が認められた事例 #1

1.通報・届出の概要

  • 障がい種別:知的障害
  • 就労形態:パートアルバイト
  • 事業所の規模:5〜29人
  • 業種:生活関連サービス業

2.誰からの報告なのか?

  • 障がい者本人からの届出

3.どういった状況で虐待が行われたのか?

  • 作業がうまくいかない時に、事業主からモップの柄で頭を叩かれたり、頬を平手打ちされたり、太ももを蹴られたりするなどの暴行を受けた。

4.労働局の対応

  • 労働局は、職業安定部(公共所業安定所)を担当部署とし、訪問調査を実施した。事業主から聴取したところ、障がい者への指示や指導の際に、手足やモップで小突くことはあったことを認めた
  • 労働局は、仕様書による身体的虐待であることを認めた。公共職業安定所は、雇用する障がい者に対しては言葉遣いや作業管理について、障がい特性等を踏まえて粘り強く対応するよう指導した。同時に相談を受けていたい市役所が警察署に情報提供を行った。
  • 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

《今回の問題点》

安易に、補助金や助成金がおりることを考えて障がいのある方を雇い始めると、このように傷害事件にまで発展する可能性があるので、「障がい」についての知見を高め、雇用できる準備を整えてからにしましょう。

《実例紹介》身体的虐待が認められた事例 #2

1.通報・届出の概要

  • 障がい種別:知的障害
  • 就労形態:パートアルバイト
  • 事業所の規模:5〜29人
  • 業種:製造業

2.誰からの報告なのか?

  • 県庁から報告があった事案

3.どういった状況で虐待が行われたのか

  • 職場の上司を含む同僚3名から、足を蹴られる、髪の毛を引っ張られる、物を投げつけ怪我をさせられる、火を消した直後のライターを腕に押し付け火傷をさせられるなどの暴行を受けた。

4.労働局の対応

  • 労働局は職業安定部(公共所業安定所)を担当部署とし、身体的虐待の度合いが高く、緊急対応を要する事案であると判断し、市役所と連携して合同で訪問調査を実施した。
  • 事業主や職場の同僚から事情聴取したところ通報内容を事実として認めた。
  • 労働局は使用者による身体的虐待であることを認め、公共職業安定所は、虐待防止のための体制整備等、再発防止について指導を行うと主に、労働局から警察へ情報提供した。
  • 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

《今回の問題点》

たまたま職場内のいじめが障がい者であったようなケースだと考えられます。特に零細企業は、人材育成は後回しにすることが多いのも現状です。このような企業に優先順位は、「納期第一、精度第二」であることが多いです。なので、まずは「障がいのある方が働きやすい環境」を整えるようにしましょう。

《実例紹介》性的虐待が認められた事例 #3

1.通報・届出の概要

  • 障がい種別:知的障害
  • 就労形態:パートアルバイト
  • 事業所の規模:30〜49人
  • 業種:小売業

2.誰からの報告なのか?

  • 障がい者本人からの届出

3.どういった状況で虐待が行われたのか

  • 主任から胸や臀部を触られたり、抱きつかれたりされた。主任の上司に相談して注意してもらったが、同じような行為を繰り返す。

4.労働局の対応

  • 労働局は雇用均等室を担当部署とし、訪問調査を実施した。
  • 事業所の担当者から事情聴取したところ、通報内容を事実として認めた。また、被害者から何度か相談を受けていたにもかかわらず、事業主として被害者に対する配慮のための措置や再発防止に向けた措置が不十分であった。
  • 労働局は使用者による性的虐待であることを認め、雇用均等室は、事業主に対し、セクシャルハラスメントの被害者や行為者に対する措置を適正に行うこと、再発防止のために事業主が定めているセクシャルハラスメント防止規定や相談窓口を全労働者に改めて周知することについて指導した。
  • 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。

《今回の問題点》

いわゆるセクハラ問題です。これは障がいのあるなしに関係なく対処が難しい問題です。事業主はこういった問題に潜むリスク管理もしなければなりません。社内でコンプライアンス研修などを行い、労働環境を整える取り組みが必要です。

 

参考資料 厚生労働省プレスリリース

平成27年度「使用者による障がい虐待の状況等」

 

一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況 #1

障がい者雇用現場の虐待

厚生労働省から公開された、平成27年度『使用者による障害者虐待の状況等』の考察です。

通報・届出は34.5パーセント増加

ここでの通報・届出は3つのカテゴリーに分けられます。

  1. 都道府県からの報告
  2. 労働局等への相談
  3. その他労働局等の発見

数字から読み取れること

1.「都道府県からの報告」は前年度と比較して60.8%の増加で193事業所

  • 行政側も意識して「障がい者の雇用」に目を向け始めたとみてとれます。

2.「労働局等への相談」は前年度と比較して27.6%の増加で846事業所

  • 一緒に働く人たちも少しずつ障がい者が虐待されている環境に対して声を上げているということだと思います。

3.「その他労働局等の発見」は前年度と比較して41.6%増加して286事業所

  • これは、労働局が監査時に意識して「障がい者の雇用」に目を向けているということだと思います。

以上をまとめると

行政や一緒に働く労働者は障がい者の虐待に対して目を向け始めたというのがこの結果から読み取れました。


届出の対象となった障がい者も増加

1.前年度は1276人に対して、今年は1926人(前年度比50.9%UP)

  • 報告の全体件数が上がっている証拠。障がい者について注目され始めたことで報告件数が上がっていると考えられます。
  • または、虐待の解釈が広くなり、今までは見過ごされていたことを虐待と見て報告することで件数が増えたということも考えられます。

2.この中で最も多かったのは「経済的虐待」に該当する届出が前年度811人に対して、1310人(61.5%UP)

  • この「経済的虐待」は、最低賃金を下回る会社に勤めて虐待となるケースのみになります。
  • 中には、障がい者へ対して給与やお金についての説明をちゃんとせず、誤魔化してしまう経営者もいるのが現状だと言えます。

どういった業種や、どの規模の事業所での虐待が多いのか?

まずは業種編

第3位 卸売業、小売業

ここでは49名(全体の9.7%)とそこそこ少ないように見えるが、卸売業や小売業はなかなか労働環境が整備されにくい業界である。そういった危険な業界なのでそもそもの就業人数が少ない可能性もありえる。

第2位 医療、福祉業

ここではどういったケースの虐待が多いのかそこまではっきり見えませんが、医療の業種で就業されている方の虐待の現場が想像がつきません。この福祉業ってのがキーポイントなのかな?医療の現場で虐待はあるのかな?

第1位 製造業

栄えある第1位は製造業です。製造業は1分1秒の世界、そして担当部署によっては1000分の1ミリの精度を求められるところもあります。その物の出来栄えで、返品、さらに素材の買い足しといった、かなりリスクの高いものになってます。まさに「職人」の世界です。そして「職人」の世界で必要なのは、熟練の専門的な技術が求められます。そのようなシビアな環境でトラブルがあるのは日常茶飯事なのではないのでしょうか?

この結果と関連して考えたいのがその業界で働いている人数の分母です。業界で何人勤めていて何人が虐待を受けているのか?非常に興味深いですね。

会社の規模編

かなり面白いデータになってます。会社の規模が一定ライン(就業人数)を超えるとほとんど虐待が発生していない状況になってます。

そのラインとは「就業人数が300人を超えるか超えないか」です。

要するに「零細企業」や「小規模企業」では虐待の発生件数が98.2%

300人以上の「中規模企業」「大規模企業」では障害者虐待件数の1.2%です。

明らかに事業規模が小さいと障がい者に対する虐待が発生する件数が多いです。

考えられる理由としては「コンプライアンス」という概念がないこと

だと思われます。

参考資料 厚生労働省プレスリリース

平成27年度「使用者による障がい者逆他の状況等」