2017.03.07
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一般企業に勤める「障がい者虐待」の状況 #2
《実例紹介》身体的虐待が認められた事例 #1
1.通報・届出の概要
- 障がい種別:知的障害
- 就労形態:パートアルバイト
- 事業所の規模:5〜29人
- 業種:生活関連サービス業
2.誰からの報告なのか?
- 障がい者本人からの届出
3.どういった状況で虐待が行われたのか?
- 作業がうまくいかない時に、事業主からモップの柄で頭を叩かれたり、頬を平手打ちされたり、太ももを蹴られたりするなどの暴行を受けた。
4.労働局の対応
- 労働局は、職業安定部(公共所業安定所)を担当部署とし、訪問調査を実施した。事業主から聴取したところ、障がい者への指示や指導の際に、手足やモップで小突くことはあったことを認めた。
- 労働局は、仕様書による身体的虐待であることを認めた。公共職業安定所は、雇用する障がい者に対しては言葉遣いや作業管理について、障がい特性等を踏まえて粘り強く対応するよう指導した。同時に相談を受けていたい市役所が警察署に情報提供を行った。
- 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。
《今回の問題点》
安易に、補助金や助成金がおりることを考えて障がいのある方を雇い始めると、このように傷害事件にまで発展する可能性があるので、「障がい」についての知見を高め、雇用できる準備を整えてからにしましょう。
《実例紹介》身体的虐待が認められた事例 #2
1.通報・届出の概要
- 障がい種別:知的障害
- 就労形態:パートアルバイト
- 事業所の規模:5〜29人
- 業種:製造業
2.誰からの報告なのか?
- 県庁から報告があった事案
3.どういった状況で虐待が行われたのか
- 職場の上司を含む同僚3名から、足を蹴られる、髪の毛を引っ張られる、物を投げつけ怪我をさせられる、火を消した直後のライターを腕に押し付け火傷をさせられるなどの暴行を受けた。
4.労働局の対応
- 労働局は職業安定部(公共所業安定所)を担当部署とし、身体的虐待の度合いが高く、緊急対応を要する事案であると判断し、市役所と連携して合同で訪問調査を実施した。
- 事業主や職場の同僚から事情聴取したところ通報内容を事実として認めた。
- 労働局は使用者による身体的虐待であることを認め、公共職業安定所は、虐待防止のための体制整備等、再発防止について指導を行うと主に、労働局から警察へ情報提供した。
- 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。
《今回の問題点》
たまたま職場内のいじめが障がい者であったようなケースだと考えられます。特に零細企業は、人材育成は後回しにすることが多いのも現状です。このような企業に優先順位は、「納期第一、精度第二」であることが多いです。なので、まずは「障がいのある方が働きやすい環境」を整えるようにしましょう。
《実例紹介》性的虐待が認められた事例 #3
1.通報・届出の概要
- 障がい種別:知的障害
- 就労形態:パートアルバイト
- 事業所の規模:30〜49人
- 業種:小売業
2.誰からの報告なのか?
- 障がい者本人からの届出
3.どういった状況で虐待が行われたのか
- 主任から胸や臀部を触られたり、抱きつかれたりされた。主任の上司に相談して注意してもらったが、同じような行為を繰り返す。
4.労働局の対応
- 労働局は雇用均等室を担当部署とし、訪問調査を実施した。
- 事業所の担当者から事情聴取したところ、通報内容を事実として認めた。また、被害者から何度か相談を受けていたにもかかわらず、事業主として被害者に対する配慮のための措置や再発防止に向けた措置が不十分であった。
- 労働局は使用者による性的虐待であることを認め、雇用均等室は、事業主に対し、セクシャルハラスメントの被害者や行為者に対する措置を適正に行うこと、再発防止のために事業主が定めているセクシャルハラスメント防止規定や相談窓口を全労働者に改めて周知することについて指導した。
- 処理終了後、労働局は県庁へ情報提供を行った。
《今回の問題点》
いわゆるセクハラ問題です。これは障がいのあるなしに関係なく対処が難しい問題です。事業主はこういった問題に潜むリスク管理もしなければなりません。社内でコンプライアンス研修などを行い、労働環境を整える取り組みが必要です。
参考資料 厚生労働省プレスリリース
平成27年度「使用者による障がい虐待の状況等」